カンベル「形」

剥がし取る思ひの奥に何を見る?

干涸びる程に遠い死を知る。

然るべき言葉さえも言い忘れ、認める文。

死んだ場所に置き忘れ、過ぎる歳月。

絶えず孤独纏う。

不意に喪失。大差無く互い違う。

尚も蝕む昔話す己れの鍵。

通り降る雪。白く消える冬の吐息。

覚えていること。急に黙る不図。

己れが居た跡を消して待つ御前の後。

確かめた位置。大事だった形。

無言の帰り道、近い筈が遠い。

何処を去る頃、分かり合える相違点?

擦れ違う人、己れ等だけの関係性。

苦悩、懊悩、多く悩み耐える業。

形ないもの。希望を合わす手で祈祷。

三日月、淡く照らす水無月。

去る雨季。文月前の暁。

孤独を吸う鍵。重く吐く息。

言葉無くす秋。記憶咽せる咳。

後ろ浅む夏季。深く沈む冬季。

自棄に死んだ時、自身の何を破棄?

先に待つ死期。露名は等式。

時期に決まる動機。時に嘔吐く動悸。

雨が降る。濃く記憶残る。

思い、手を振る。重い筆を執る。

命ある内、変わりゆく形。人にある価値。

町にぽつり立ち、先のこと思う。生き急いで追う。

死ぬは同等。祈り流す灯篭。

問いの解答。一人明かす冪等。

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