カンベル「形」
剥がし取る思ひの奥に何を見る?
干涸びる程に遠い死を知る。
然るべき言葉さえも言い忘れ、認める文。
死んだ場所に置き忘れ、過ぎる歳月。
絶えず孤独纏う。
不意に喪失。大差無く互い違う。
尚も蝕む昔話す己れの鍵。
通り降る雪。白く消える冬の吐息。
覚えていること。急に黙る不図。
己れが居た跡を消して待つ御前の後。
確かめた位置。大事だった形。
無言の帰り道、近い筈が遠い。
何処を去る頃、分かり合える相違点?
擦れ違う人、己れ等だけの関係性。
苦悩、懊悩、多く悩み耐える業。
形ないもの。希望を合わす手で祈祷。
三日月、淡く照らす水無月。
去る雨季。文月前の暁。
孤独を吸う鍵。重く吐く息。
言葉無くす秋。記憶咽せる咳。
後ろ浅む夏季。深く沈む冬季。
自棄に死んだ時、自身の何を破棄?
先に待つ死期。露名は等式。
時期に決まる動機。時に嘔吐く動悸。
*
雨が降る。濃く記憶残る。
思い、手を振る。重い筆を執る。
命ある内、変わりゆく形。人にある価値。
町にぽつり立ち、先のこと思う。生き急いで追う。
死ぬは同等。祈り流す灯篭。
問いの解答。一人明かす冪等。
*リピート