夜に溶ける吐息が 冷たい風に揺れる 街灯の下で 僕は君の面影を追う 二人で歩いたこの道は 何も変わらないのに 心にだけ ぽっかり穴が空いたまま 君がいない夜は こんなにも長くて 街の灯りさえ やけに眩しく見える 静寂に滲む声 君に届かない想い 時が戻るなら ただ隣で笑っていたい 君の香りがまだ このシャツに残るたび 忘れたいのに 記憶が僕を追い詰める 路地裏の影に 誰かの幸せが揺れている それを羨む僕が 惨めで仕方ないんだ 君を失った街は こんなにも冷たくて 夜の静けさが 心を蝕んでいく 交わした言葉たちが 今も胸を締め付ける せめて夢の中で もう一度君に会いたい 泣きたいはずなのに 涙はもう枯れて ただ君が好きだった 景色が滲むだけ きっと君は今 新しい光の中 それでも僕は ここで立ち止まっている 君がいない夜に 響くひとりの足音 街灯の下、僕は君の幻を抱いている 静寂に溶けた声が 星空に消えていく 「さよなら」さえも 言えない僕を許して