ガラス越しの曇り空 指先でなぞる、消えてく模様 白い息がふっと溶けて 心も少しだけ軽くなる 誰も来ないこのカフェで 時計の針だけが響く ひとりきりの午後の静寂 それも悪くないと思えるのは ただ、あなたを思い出すから 冷えたカップの底には 飲みかけのコーヒーの名残り 「また来ます」と書かれた伝票 本当はもう来ないかもしれない 誰も来ないこのカフェで 窓の外、雪がちらつく ひとりきりの午後の孤独 少しだけ愛しく思えるのは ただ、あなたがよぎるから 流れる音楽も切なくて この冬の終わりを告げている でも今は、何も変えずに この瞬間を抱きしめていたい 誰も来ないこのカフェで 時計の針が止まるように ひとりきりの午後の静寂 胸の奥、暖かくなるのは まだ、あなたを好きだから