\t通り雨は相変わらず止まなくて
ひとしきり心臓を叩いている
窓辺に寄りかかれば
心が洗われる気がした
締め切った書斎の電燈は消え
暗闇がふいに押し寄せ
騒々しかったあの雨音も
鈍く、遠くへ行ってしまった
目を覚ませば不思議と心地良く
麗らかな日差しが差している
眠り込んでしまったのか
どうしてか涙に暮れた
だんまりも気づけば夜半を廻り
遣る瀬無く詩を書いた
何処に宛てる訳でも無く只
拙い言葉で繰り返した
流れ渡る時間 若き日に想う
正しい眼で見て 値踏みをして
一人の価値に満足してしまえば
留まり続ければいい
しかしこの胸の中には小さな光があり
愛の世界が確かに在った
波間を歩くのはもう少し先
美しい生命を惜しんだ
落ち着かない鼓動も勘違いだった
窓辺に寝転んで 創作を読んでいる
この三行の恋文が 遠く、遠く色褪せぬように